舞台仕掛けの素晴らしい技術書

<6月『17世紀フランス演劇』から考える>
1638年のイタリアで『劇場の舞台と装置の整作法』Pratica di fabricar scene e machine ne’ teatri という本が出版されました。著書は建築家のニコラ・サバティーニ Nicola Sabbatini(1574-1654)という人物です。
wikipediaでは彼の職業は「建築家」とありますが、どちらかと言うと「技術者」もしくは現在で言う劇場の「テクニカルマネージャー」に近いかもしれません。
フランスにイタリアオペラが導入されるに辺り、この本はとても重要な役割を担っていたと思われます。
この本に書かれている内容はサバティーニの経験に基づくものと過去の技術の集大成であり、必ずしも最先端技術ではありませんででした。恐らく当たり前のように当時のイタリアの劇場で使われていた物だったのでしょう。

ざっと気になる項目だけさらってみましょう。

『劇場の舞台と装置の整作法』
第一部 「劇場の縄の張り方、装置の作り方、レイアウトの方法」
第二部 「転換の仕掛け、大道具の製作方法、舞台効果」
第41章から 「宙吊りの仕掛け」
第43章からはさらに具体的に「人を乗せた雲を舞台に垂直に降ろす方法」
第45章は「空中に急に雲を登場させる方法、またそれを舞台中央まで移動させる方法」
第50章から「雲なしで俳優を浮かす方法」
などなど

他にも波マシンや照明の調光装置の記述もあります。

目次を見て「これが当たり前のように行われていたのか!?」と目を疑います。
さらにはこれらの詳細をきちんと書物化したサバティーニには頭が下がります。
現在でも特に日本語では舞台や劇場関係の理論書は非常に少ないように思います。
このような形を残す活動も我々はやっていかないといけないのだと思いました。
ちなみにサバティーニの著書は以下から無料で全文読む事ができます。
https://archive.org/…/praticadifabric…/page/n11/mode/2up
いやいや、すごい時代だなと、、、
文章は全く読めませんが、図を見ているだけでかなり楽しいです。
文章は以下からテキスト化したものが拾えます。これをdeepl翻訳に入れれば読めます。
https://www.researchgate.net/…/287994779_La_Pratica_di…
これを読み解く機会もいずれ設けたいなと思いました。

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