<6月『17世紀フランス演劇』から考える>
2021.0629
昨日、ヴィガラーニの装置はどこか単調だと書いてしまいましたが、ことヴェルサイユ宮殿での公演で言えば大胆でかなり印象的な舞台を作っています。

しかし、これを舞台美術と言ってよいのでしょうか?
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1664年に行われた三日間のイベントでは、現在のラトナの泉水がある辺りに舞台を組みました。
2日目に上演されたモリエールの戯曲『エリード姫(LA PRINCESSE D’ELIDE)』では、ヴィガラーニは既存の生け垣を舞台の壁に使い、舞台の上に布をかけて天井を作った様子が描かれています。
MAKING THE SCENE P128より
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とそんな説明を読みながら、版画をみるとその大胆な切り取り方に驚かされます。要は庭園の中にバカでかいプロセニアム(額縁)を組むわけですから、日本建築で窓からさりげなく庭園をみせるのとはわけが違います。
(どちらが良いというのではなく、、、)
これを見ると評価されるのはヴェルサイユ宮殿全体を舞台装置にしたルイ14世であり、造園家のノートルということになるのでしょうか?
と言ってヴィガラーニという人物の評価を落としているわけではなく、彼はどちらかというと優秀な技術者(言われた事を実現化する設計者)であったのかもしれないと感じました。