10_戦後イタリアの舞台空間について

ルカ・ロンコーニ(1933年生)は、ルドヴィーコ・アリオストの16世紀の作品『狂えるオルランド』の演出で国際的に注目を集めた。従来の固定舞台ではなく、約120フィート×45フィート(36.5m×13.7m)の劇場空間内で複数の場面が同時進行し、観客は自由に移動して観劇できる形式を採用。大道芸やパレードのような効果を生み出した。この作品はスポレートで初演され、その後パリやニューヨークなどでも上演された。

ロンコーニは美術家エンリコ・ジョブ(1934–2008)とともに、1972年にスポレート、1973年にヴェネツィアでアイスキュロスの『オレステイア』を演出。観客席の配置や舞台構成に違いはあるものの、両作品は基本的に同じコンセプトであった。

ジョルジョ・ストレーレル(1921–1997)は戦後イタリアを代表する演出家であり、彼の死後、ロンコーニがミラノ・ピッコロ劇場の芸術監督を引き継いだ。ストレーレルは主に美術家エツィオ・フリジェリオ(1930年生)と協働し、1973年にはサーカスの円形舞台を思わせる空間で『リア王』を演出。「人生と歴史の表象のための宇宙的な舞台」と称された。

また、ストレーレルはゴルドーニの『二人の主人を持つ召使い』など18世紀の作品も多く手がけ、移動劇団が広場に舞台を設営したかのような美術を採用。彼の演出はイタリア演劇を国際的に広める上で最も重要な役割を果たした。


ルカ・ロンコーニ監督『狂えるオルランド』(1974)イタリアのテレビドラマ
『二人の主人を持つ召使い』

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