第3章: イタリア・ルネサンス期の舞台美術(要約)

この章では、ルネサンス期の劇場デザインについて解説している。ルネサンスは、古代の古典的なアイデアの復活と、新しい視覚的・技術的な革新が融合した時代だった。

  • 遠近法の導入
    アンドレア・アルベルティやセバスティアーノ・セリオによる建築論が、舞台美術の基礎となった。セリオは中央の消失点を活用した舞台デザインの原則を確立し、奥行きと現実感のある舞台を実現した。
  • インテルメッツィ(間狂言)の発展
    劇の幕間に上演されるインテルメッツィは、壮大な視覚効果、音楽、舞踊を伴い、舞台技術やスペクタクルの発展を促した。
  • 舞台機構の進化
    雲や空を表現する機械、人物を空中に吊り上げる装置、波の動きを再現する仕掛けなど、多彩な特殊効果が開発された。ニコラ・サバティーニは、これらの舞台機構について詳細に記述を残している。
  • 劇場建築の発展
    固定劇場の建設(例:パラッツォ・デル・テの劇場、テアトロ・オリンピコ)により、複雑な舞台装置や演出が可能になった。また、祝祭や宮廷の催しでは、仮設劇場も盛んに作られた。ウフィツィ劇場は、祝祭の壮観さを示す代表例である。
  • 芸術家・建築家の貢献
    • ジョルジョ・ヴァザーリ:ウフィツィ劇場の設計に関与
    • バルトロメオ・ネローニ:プロセニウムアーチの概念を発展
    • ジュリオ・パリージ:壮大な祝祭劇の舞台デザインを手がける
  • 宮廷文化と舞台デザイン
    ルネサンス期の演劇は宮廷文化や祝祭と密接に結びつき、支配者たちは演劇を通じて権力や威信を誇示した。そのため、舞台デザインは壮麗で豪華な視覚効果を重視する傾向がある。

この章は、ルネサンス期の劇場デザインが視覚芸術、建築、技術の進歩と連動しながら発展し、後の時代の劇場に大きな影響を与えたことを示している。

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